CG 家庭教師ヒットマン REBORN! 雲雀の音声入り目覚まし時計 セリフより

02. 「・・・まだ寝てるのかい?あと5秒のうちに起きないと咬み殺すよ?5・4・3・2・1・・・時間切れだ」



「……まだ寝てるのかい?」
 紗のかかった意識の向こう、やわらかい声がした。
 あまり知っている人はいないけれど、この人は時々とても優しい音を出す。
 耳がくすぐったくて、ふとんが気持ち良くて、なにより肌に触れるぬくもりがあたたかくて、私の目はなかなか開いてくれない。
 気持ちは逸るのに、なんて幸せな心地。
「あと5秒のうちに起きないと咬み殺すよ?」
 いけない。はやく起きなくちゃ。
 背筋がぞわぞわする。あの人の語調に、危険ななにかが混ざり始めた。
 でも、頭ははっきりしてきているのに、体が稼動する事を全力で拒否してる。
「5・4・3」
 お願い、動いて。きっと大変なことになる。
「2・1……時間切れだ」
 ――食べられた。思い切り。

 驚きで体は瞬時に覚醒したけれど、私は動く事が出来ない。
 私の後ろ首をあぐりと噛む彼が、覆いかぶさってどいてくれないからだ。こっちが飛び起きたのなんて分かっているだろうに。
「雲雀さんっ」
「起きるのが遅いよ」
「あっ、あ!」
 首から離れた彼の口が、そのまますべり降りていく。首から背中、腰、そのさらに下へと。がじがじと齧られて、舐められて、ぞくぞくする感覚が背筋を走る。
 逃げようとする私を押さえつけて、彼が言う。
「咬み殺すって、言ったよね?」
 ああ、獣が舌なめずり。
「美味しく食べてあげるよ」
 囁きはあまりに楽しげで、食べられる草食獣なのだろう私は、諦めの鳴き声をあげるしかなかった。




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