家庭教師ヒットマン REBORN! 雲雀の音声入り目覚まし時計 セリフより

01.
校歌「♪緑〜たな〜びく〜並盛の〜(携帯の着うたが、途中できれる」
雲雀「ピッ(携帯電話のボタンを押す音)もしもし?・・・朝から電話をかけてくるなんて・・・死にたいの?僕の眠りを妨げるのは誰であろうと許さないよ」




『 緑〜たな〜びく〜並盛の〜 』

 鳴りだした携帯を鷲掴み、誰からの着信かも確認しないままボタンを押した。
 深い眠りにいたところを起こされたせいで、暗闇に慣れた瞼が開く事を拒否する。
「――もしもし? ……朝から電話をかけてくるなんて……死にたいの?」
 体内時計からして時刻は朝方。日も昇ってはいないだろう。
 そんな時間に電話をしてくるとは、どんな非常識人だ。
「僕の眠りを妨げるのは誰であろうと許さないよ」
 置き抜けで、また不機嫌なせいで、自然か掠れている低い声が出る。
『あ……っ……』
 回線の向こうの人物は小さな声を上げた。
 ほんの一言。それだけで相手が誰か、雲雀には分かる。
「……京子?」
『は、はい。ごめんなさい、こんな時間に。もう切りますっ』
「待って」
 咄嗟に答える。
 電話の主――年下の恋人は、非常識とはかけ離れた人間だったから、この電話には意味があると直感した。
『でも』
「いいから。どうしたの?」
 癪なことだが、怒りはもう消えている。
 いつもより弱々しい声の京子はしばらく逡巡していたが、やがて口を開いた。
『恐い夢を、見て。雲雀さんが……死ん……い、いなくなっちゃうユメを』
 そこまで言った少女は嗚咽する。
 ザザと時折混じるノイズが耳障りだと雲雀は苛立ちながら、体を起こした。
『すごくリアルで。本当のことじゃないって分かってるのに、電話、しちゃって』
 ごめんなさい、と細く続く。
 たかが夢だと切って捨てる事は簡単だった。
 しかし、その夢を見て飛び置き、今はベッドの上で縮こまる京子が見えるようで、雲雀は他人ならばそう言うであろう事が彼女には出来ない。
「僕は生きてるよ」
『はい……っ』
 雲雀はパジャマを脱ぎ捨て、ジーンズに足を通す。
 シャツを着た上にライダースジャケットを着込んで、バイクのキーを掴んだ。
「京子。着替えておいて」
『え?』
「迎えに行くから、僕の家においで」
『雲雀さん!?』
 驚く彼女に向かって、安心とトドメの一言を。

「僕が生きてるって、実感させてあげる」

 だからもう泣かないでいい。



051:夢路の果て



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