家庭教師ヒットマン REBORN! 雲雀の音声入り目覚まし時計 セリフより

04.
雲雀「おはよう。今日は朝から校門前で風紀検査を行うよ。遅れたら・・・分かってるよね。」




『おはよう。今日は朝から校門前で風紀検査を行うよ。
 遅れたら……分かってるよね』
 ピピッという音と共に、録音再生が終わる。
 聞き終えた骸は思わず笑ってしまった。
「あの男も存外可愛い事をするじゃないですか」
 ねえ京子、と、この携帯電話の持ち主に言ってみる。
 少女からの答えはない。
 当然だろう。彼女は気絶して、骸の太腿を枕にして横たわっているのだから。
「着信が凄いですね」
 十分おきどころか、五分、三分の間隔で電話はかかってきている。着信履歴は今日の分のみで埋まっていた。
「まあ、だからこそ良いアイテムになっていましたが」
 ひっきりなしに鳴っていた電話。
 マナーモードだった為の音こそ鳴らなかったが、着信がある度に光って、暗い部屋の中で目立っていた。
 光が放たれる都度、涙に濡れる京子の目はわずかな希望を抱き。
 ケータイに手が届く寸前でそれを遠ざけられ、絶望に落とされていた。
「雲雀恭弥……やはり邪魔だ」
 着信履歴の中で一番名前が多いあの男は、今骸の腕の中にある少女の恋人だという。
 雲雀の着信だけイルミネーションの色を変えているらしく、その光を目にした京子は体を硬くしていた。
 もっともそれは、彼女の犯していた骸にとって心地良い結果となるだけだったが。
 彼女のナカの熱さを思い出して、ぶるりと体が震える。
 骸の欲望は尽きることを知らない。

 ピンク色のケータイに、また着信が入る。
 イルミネーションは鮮烈な赤。ウィンドに映る名は「雲雀恭弥」。
 上がっていく熱に耐えられず京子を抱き上げながら、骸はボタンを押した。

 放つは勝利の宣言。
「彼女はもう二度と君のところへ帰りませんよ」
『っ!』
 電話の向こうでなにやら言っていたが、気にせずケータイを握り潰し。
 機械からただのゴミになったものをベッドの外へ放り捨てて、男は笑った。

 幸せそうな悪魔の笑みを、囚われの少女は知らない。



060:これを愛と呼ぶのなら



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